眼瞼下垂という症状が、油断大敵だということについてはすでにさんざん述べさせていただきました。先天的に眼瞼下垂の症状を呈しておられる方は、とにかく眼科や専門医の検診を受けることで、具体的な治療法を見つけてもらいましょう。後天的な眼瞼下垂の場合も、放置することなく、なるべく早めに専門医の診断を受けるべきでしょう。幸いにして現在まったく眼瞼下垂の症状を呈していないという方も、常日頃から眼瞼下垂を「予防する」努力が必要です。
眼瞼下垂には様々な要因が挙げられることについてもすでに述べました。花粉症・アトピーなどの症状から眼瞼下垂を併発することもあるわけですから、これを予防するためにも元々の症状の治療を適切に行うことが大切です。女性の場合は、毎日のメイクやメイク落としの際に、まぶたを必要以上にこすらない注意が必要です。パソコンによるデスクワークを常としている人は、定期的に目を休め、日頃から眼球や瞼のトレーニングを心がけましょう。
眼瞼下垂は極度の肥満によっても起こります。特に日本人は瞼に皮下脂肪がたまりやすく、これが眼瞼挙筋やミュラー筋に過度の負担を強いることになり、眼瞼下垂に発展するケースがかなり多いのです。欧米人に肩こりが少ないのは、瞼の皮下脂肪が元々薄いためだと言われます。逆に日本は昔から肩こり大国でした。眼瞼下垂という症状が、いかに我が国に昔からはびこっていたかを表すものだと思われます。規則的な生活習慣、適切な食生活もまた、眼瞼下垂の発症リスクを軽減する重要なポイントと言えるでしょう。
眼瞼下垂は老化によっても起こります。これはある程度仕方のないことでもありましょうが、やはり出来るだけ早いうちに、眼球とまぶたのトレーニングを習慣づけることで、若々しい目元を少しでも長く維持できるのではないでしょうか。足腰やダイエットのためのトレーニングは皆さん熱心ですが、眼の運動、まぶたの運動は意外と盲点かもしれませんね。眼瞼下垂という疾病は、実に多くの合併症を連れてきてしまいます。眼瞼下垂を予防する努力が、総合的健康にもつながるのです。
眼瞼下垂に不幸にして陥ってしまったら、迷わず専門医のアドバイスを受けましょう。症状が軽いからと油断してはいけません。軽く見えても、実はミュラー筋に過度の負担がかかっていて、つねにアドレナリンが分泌されているかもしれないのです。最近疲れやすい、肩がひどく凝る、いらいらする、眠りが浅い、などの症状も、ちょっと角度を変えてみて、ひょっとしたら眼瞼下垂かもしれないぞ…と、疑ってみることです。