眼瞼下垂が単純な過労・疲労から来ている場合は、わりと問題化しません。休息・休養を取ることでほとんどの場合症状が改善するのですが、慢性状態の場合、多少休息を取った程度ではなかなか治らないようです。また、たとえ改善しても、さらに疲労が重なればまた眼瞼下垂が再発する場合もあります。特に近年はパソコンの液晶画面を長時間見つめている場合などに眼瞼下垂の症状が表れることも多いようです。
眼瞼下垂が先天的な場合、症状が極端でない場合、放置しておられる方がほとんどのようです。実生活に支障がなければよいのですが、眼瞼下垂の状態が著しい場合は眼球の発育が阻害されることも多く、正常な視力発達が望めないなど好ましくない結果に繋がりかねません。たとえ眼瞼下垂の程度が軽いものであっても、いずれは視力低下を早め、また低下の程度も大きくなる恐れがあります。
眼瞼下垂が先天的な場合、他の症状の後遺症・合併症である場合など様々ですが、瞼を動かす筋肉(眼瞼挙筋)が衰えて開閉が困難になっている場合と、眼瞼挙筋の腱そのものが、まぶたから剥離してしまって眼瞼下垂を起こしている場合があります。こうなるといくら頑張ってもまぶたを開け閉めすることが困難になり、さらに深刻な眼病の原因になることもあります。最近は、パソコンを使った長時間のデスクワーク・アトピー・花粉症・逆まつ毛などほんのちょっとしたことが原因で眼瞼下垂にまで至ってしまったという例が増えているようです。
眼瞼下垂でいちばん怖いのは、やはり視力低下が進んでしまうということでしょう。さらに無意識的に、本能的に低下した視力・視界を改善しようと常に緊張を強いられるため、肩こり・目の痛み・頭痛・腰痛・慢性的疲労感などにさいなまれ、場合によっては精神的ストレスを蓄積して不眠症や鬱病に陥る例も多いようです。眼瞼下垂の患者さんの多くが、衰弱してしまった眼瞼挙筋を補うため、無意識におでこの筋肉やミュラー筋という筋肉を酷使する傾向にあり、それがこうした症状を引き起こすもとになっているようです。
眼瞼下垂は実は驚くほど多くの現代人がすでに発症しているのです。ただ、初期の段階では自覚症状がほとんど無いため、気づかれていないだけなのです。鏡を見て、きれいな二重瞼だと喜んでいる人も、実は眼瞼下垂の初期症状である場合が多いのだそうです。健康診断の眼科検診は、視力表による単純な検査だけでなく、眼瞼下垂なども含めた、より詳細丁寧な検診が必要なのかもしれません。