眼瞼下垂って何?

眼瞼下垂とは何やらいかめしい呼び方ですが、これは「まぶた」の病気の一種なのです。先天的な場合もありますし、後天的な眼瞼下垂もあります。どういうものかというと、上まぶたの機能に不具合が生じて「目をぱっちりと開く」ことが困難になるという状態です。後天的な眼瞼下垂というのは、たとえば加齢によるものや、コンタクトレンズを装用することによって生じるものもあり、目の周辺筋肉の不具合・疾患によって起こる眼瞼下垂を指します。

眼瞼下垂がひどくなると、目が開けにくいということだけでなく、見えづらい視界を確保しようとする無意識の動き、たとえば顎を上げる、眉を必要以上に上げるなどの動作を重ねることで、やがて肩こりや頭痛などといった症状に発展する場合も多く、眼瞼下垂とひとくちに言ってもなかなか根が深いと申せましょう。眉を上げる無意識動作が続くと額にしわが寄ってしまうなど、いわゆる「年寄くさい」風貌になってしまうこともあるので注意が必要です。眼瞼下垂によって起こる症状、副作用はそれだけではありません。

眼瞼下垂も軽度のうちは、ついつい見過ごされがちですが、あまりに重症の眼瞼下垂に発展してしまいますと、遠近感がつかめなくなったり、視野が急速に狭くなったりするため、たとえば自動車の運転や階段の昇降などに重大な危険が生じることもまれではありません。そこまでいかなくとも、眼瞼下垂を放置していると思わぬ障害となり、日常生活に支障をきたすことは言うまでもありません。外見的にも、やたら眠そうに見えたり、不機嫌な表情と誤解されたり、社会生活を営む上で重大な支障をきたすことにもなります。

眼瞼下垂は一般的生活においてもこれだけマイナスに作用するのですから、とりわけプロのドライバーや航空パイロット、スポーツ選手など、視力が大きく物を言う職業に携わる人たちの場合、眼瞼下垂は深刻な問題となってくるのです。特に眼瞼下垂が困るのは、視力にまったく問題ないという人であっても、物を見る機能が著しく低下してしまうことでしょう。場合によっては完全に目を開くことが出来なくなって、物理的な盲目状態に陥ることもあり、そうなると眼瞼下垂は実に恐ろしい疾患ということになってきます。

眼瞼下垂が加齢によるものである場合、これは瞼を動かす筋肉の衰えが主な理由となっています。脳梗塞など、脳血管障害の後遺症として眼瞼下垂が表れる場合もあります。筋無力症など重大な疾患の兆候として眼瞼下垂が表れる場合もありますので、注意が必要です。急に起こるというよりは、軽度の眼瞼下垂から徐々に症状が進行するという場合も多く、なかなか自覚しにくいということもありますので、定期検診はこまめに行いたいものです。